我々がしょうがないと諦めてしまった、その先に待つものはなんだろう。
我々がしょうがないと諦めてしまった、その先に待つものはなんだろう。
※週刊朝日 2013年10月11日号より
政府は消費税の増税を来年4月から始める予定だ。
作家の室井佑月氏は本当にそれでいいのかと疑問を呈する。
* * *
来年の4月から消費税は8%に上がるようだ。
消費税増税に反対が50.0%、賛成が46.8%だったとか。
マジかよ。あたしは賛成する人が半分近くまでいることにびっくりだ。
消費税が上がれば、味噌から醤油、トイレットペーパーまで、
およそすべての生活用品の値段が高くなる。
ほとんどの人の生活は苦しくなるよね。
そういや、テレビを観ていたら街頭で消費税増税について訊ねられ、
「しょうがない」と答えていた人がいたな。
ほんとうにしょうがないの?
たぶんそういう人たちは、国の財政危機、
増えつづける社会保障費なんてことを気にしているんだろう。
さんざんメディアはそういう不安を煽っているしな。
あたしだって、それは気になる。
しかし、この国のみんなで一丸となって頑張りましょう、
ってことじゃないんだよね。
消費税が上がれば儲かるごく一部の人もいる。
支払った分の消費税がまるまる戻ってくるそうだ。
そして、政府は法人税は下げようとしている。
テレビに出てる専門家は、
「企業の利益が上がれば、そこで働く人の給料も上がる。
給料が上がった人は金を使い、この国の景気が良くなる」といっていた。
ほんとにそんなこと信じられる?
2002年2月から5年以上もつづいたいざなぎ超え景気といわれる期間。
普通のお勤め人の給料は減って、税金や社会保険料も上がった。
儲けたのは大企業だけだった。
この国のため、みんなで頑張ろうというのならわかる。
けど、頑張る人や苦しむ人はいつも決められているような気がする。
人数は圧倒的に多いはずなのに、
力がないからATMみたいに粗末に扱われる。
そのことに対し、しょうがないとはとても思えなくなってきた。
「派遣 全業種で開放!?」という記事が載っていた。
厚生労働省の研究会が、あらゆる業務で無期限の派遣労働を認める
方向で議論を進めている、という記事だ。
「報告書は『保護』こそ掲げているが、実際は派遣を増やすのが狙い。
企業側に好都合な施策でしかない」
「派遣労働者が増え、派遣切りはさらに横行する。
労働者の立場はいっそう不安定になる。
その先に待つのは、働いても働いても生活が苦しい貧困社会だ」
我々がしょうがないと諦めてしまった、その先に待つものはなんだろう。
死なないからただ生きている、そういう生活のような気がする。
しかもそれは、子の代まで延々とつづきそう。
それでほんとにいいのだろうか。