<待機児童緊急対策>一時預かりで臨時対応…政府原案(毎日新聞)


声を上げる事で、政治が変わり、生活が変わり、未来が変わる。

今回の臨時対応案などは只の選挙対策に過ぎず、根本的な解決にはならないだろうけど、
声を上げたからこそ表に出してきた案。

もっと大きく持続的に声を上げれば、待機児童問題も解決すると思う。

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<待機児童緊急対策>一時預かりで臨時対応…政府原案(毎日新聞
毎日新聞 3月25日(金)7時30分配信  

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「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログ賛同者の署名を受け取る塩崎恭久厚労相。左から2人目は民主党山尾志桜里衆院議員=国会内で2016年3月9日午後2時42分、藤井太郎撮影

 待機児童解消に向けて政府・与党が検討している緊急対策の原案が判明した。
保護者の都合などで一時的に子供を預けられる「一時預かり」について、同じ子供を毎日預かる前提でのサービスを行い、保育所などへの入所が決まるまでの居場所を確保する。

また、面積当たりの子供の数を国の最低基準より少なくするなどしている保育施設に対し、定員を超えて預かる子供の数を増やすよう求めるなど、受け入れ枠拡大や規制緩和策をさらに推進する。

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 ◇保育所、定員超過拡大も

 政府は、自民、公明両党の提言も踏まえて週明けにも正式に対策を決定する方針だ。

 対策は、匿名のブログをきっかけに保育サービス拡充を求める声が高まり、参院選への影響を懸念し、急きょまとめた。現時点で困っている母親らが多いことを踏まえた緊急対策と、人材育成など恒久財源を要する中長期的な対策に分かれている。

 緊急対策のうち、一時預かりでは、保護者の負担が過大にならない料金設定とすることなども支援する。

 預かる子供の数の基準緩和では、2年連続で定員を20%超過した場合に補助金が減額される「ペナルティー」について、超過できる期間の延長なども検討する。

 国の基準に従った認可保育所だけでなく、東京都の認証保育所など地方自治体が独自に認定している保育施設の活用も進める。認可保育所より割高なことの多い利用料の負担軽減措置を支援。事業所内保育所を地域の人が利用できるよう働きかけることなども盛り込んだ。待機児童が特に多い0~2歳児対象の小規模保育所の受け入れを拡大する。

 待機児童が50人以上いる市町村には「保育コンシェルジュ」の配置を促す。コンシェルジュは保護者の働き方や通勤経路なども勘案して利用可能な保育サービスの情報を提供する。

 一方、中長期的課題には、保育士の給与2%引き上げなど財源の必要な人材確保策が並んだ。

 厚生労働省によると、昨年4月現在の待機児童は5年ぶりに増加し、約2万3000人。大都市に集中しており、東京都は約7800人に上っている。【阿部亮介】
最終更新:3月25日(金)11時51分




香山リカのココロの万華鏡:「保育園落ちたの私だ」 /東京 - 毎日新聞

子どもの保育園への入園を断られた母親が「何なんだよ日本。1億総活躍じゃねーのかよ」と強い口調で抗議の言葉を書いた匿名ブログが話題になった。国会で野党議員がこれを取り上げ、「言葉は荒っぽいが、本音、本質だ」と待機児童解消や保育士の待遇改善を安倍晋三首相に迫ったところ、議員席から「誰が書いたんだよ」などのヤジが飛んだ。首相自身は待機児童の問題は重大であることを認めながらも、「匿名である以上、実際起こっているか確認しようがない」とも述べた。

これを受けてネットでは「保育園落ちたの私だ」というフレーズをつけてこの問題を訴える動きが急激に広がっている。「特定の誰かのクレームではなく、みんなの問題なのだ」と共有している。

興味深いのは、この訴えに参加しているのは、実際に子どもの入園を断られた経験を持つ母親ばかりではないことだ。保育園に入れた人、それどころか子どもを持たない人や未婚の男性までが、「保育園落ちたの私だ」というキャッチフレーズとともに意見を述べている。

 ネット上のこの動きを見て、私は「日本の社会も本当の意味で変わってきたんだな」と感じた。これまでは、何かの社会的な問題について発言するのは当事者や関係者という雰囲気があったと思う。

私のような精神医療の専門家が、たとえば「東京オリンピックと環境」というテーマで原稿を書くと、「専門外のことに口をはさむな」といった批判が寄せられる。「日本に住む私にとってオリンピックは人ごとではない」と説明してもなかなか理解されなかった。

 しかし、この保育園の問題などを見ると、直接の当事者ではなくても「これは私のこと」として発言する人が確実に増えつつあることがわかる。

今後、この流れが広がっていくのだろうか。
うつ病ではない人が「うつ病なのは私だ」として心の病への差別に抗議し、大学時代の奨学金の返済で苦しんでいる若者の問題を「奨学金を返せないのは私だ」と高齢者が訴える。

こうして誰もが「人ごとではない、私のことだ」と問題をとらえ、声を上げていけるようになるのは、とてもすてきなことだ、と私は思っている。

 私にも実は子どもがいない。でも、ここで大きな声で言わせてもらおう。「保育園落ちたの私だ」(精神科医


くらしナビ・ライフスタイル:「保育園落ちた」不満限界 専門家に聞く - 毎日新聞

女性の犠牲をあてに 猪熊弘子氏


 −−都市部の待機児童が一向に解消されません。

 待機児童が社会問題と認識されて約20年です。私も長女(19)から双子の息子(11)まで4人分保活し、次女(15)の時に「不承諾(落選)」を経験しました。当時は入園基準も分からず「汚れた服で毎日役所を訪ねて訴えるのが効果的」などの都市伝説もあったほど。

 でも、選考基準のポイントが公表され、2010年ごろからインターネットで個々人が状況を発信し始めて、保活は一層熾烈(しれつ)になりました。情報戦になり「乗り遅れるな」と。劣悪な施設も出てきたため、見学も必要になりました。今年「30カ所申し込んで全部だめだった」という話も聞きました。もう異常です。

 −−なぜ「異常」がまかり通っているのでしょう。

 一つは男女の差別構造に起因します。イクメンと言って活動している男性で保活を経験した人、いますか? 子育ては母親がするものという慣習と父親より母親が休んだ方がいいという経済事情から、母親が育休を取って保活もしなければならない。そのため「お母さんが怒り狂ったから保育園を作る」と女性の問題にされ、待機児童は女性の自己犠牲をあてにしています。

 もう一つは子どもの権利の視点が欠けていることです。保育の利用者は子ども。でも、親の就労や収入で利用が決まります。介護保険ならお年寄りを見て判断するのに。
 母親がみればよいという人もいますが、それは現代の子育て事情を知らない意見でしょう。共働きでなければ生活していけないですし、子育てにストレスを感じる時代でもあります。希望すれば全員が入園できて、保育の質も担保すべきです。

 −−解決策は。

 まず働き方の見直しです。

都市部の認可保育園では0歳児のお迎えがどんどん遅くなっています。これが「女性活躍」の中身でしょうか。

保育園には入れず、一度辞めたら正社員に戻れない状態で、活躍なんてできないですよ。

ブログの「日本死ね」は魂の叫びで、みんなが同じことを思っていたからこれだけ火が付いた。働かせる側の経済団体が向き合おうとしないのもおかしな話だと思います。
東京一極集中の解決を考えることも大切です。
【聞き手・鈴木敦子】



自治体に提供義務を 池本美香氏

 −−ブログが大きな反響を呼んだ背景は何でしょうか。

 待機児童は長年問題となってきたのに放置され続けてきた不満が限界に達しています。政府は女性活躍や少子化対策を強調して保育所整備を進めると明言し、昨年4月には待機児童解消に向けた「子ども・子育て支援新制度」をスタートさせましたが、待機児童は改善されていません。政策への期待が高まっていただけに現実とのギャップから怒りが生まれたのではないでしょうか。

 −−新制度への評価は?

 戦後最大の保育改革という触れ込みでしたが、何が新しいのかと思います。もちろん、小規模保育を市町村の認可事業として基準を作ったり、評価できる点もありますが、幼稚園と保育所の一元化や待機児童など根本的な問題は解決されていません。

 −−待機児童を解消するにはどうすればよいでしょう?

 すべての子どもに保育を受ける権利を保障し、自治体に保育を提供する義務を課すべきです。スウェーデンでは保育所への入所希望が出されたら、自治体は約3カ月以内に保育を提供しなければなりません。

日本では自治体は「入れませんでした」と通知して終わり。
義務があれば工夫も生まれるでしょう。

 −−財源はどうしますか?

 国際的に日本の子育て関連予算の割合は低いので配分を増やす必要はありますが、まずは子育て関連事業の中で無駄を省くべきです。例えば、親の就業状況などをポイント制にして入所の優先順位を決めている自治体がありますが、その膨大な事務コストを定員拡大に振り向けるべきです。

保育所が足りないがために、かえって無駄なコストが発生しています。ニュージーランドは行政コストの削減のために幼保一元化を行いました。発想の転換が必要です。

 −−保育の量の拡大に合わせて、保育の質を担保することも求められています。

 保育の先進諸国が導入しているように虐待や事故などを防ぐため、第三者がチェックする仕組みが必要です。園の評価や自治体ごとの待機児童の状況など基礎的な情報は国が主導して公表すべきでしょう。親の参画にもつながり、保育の改善に向けた幅広い議論が進むのではないでしょうか。【聞き手・山田泰蔵】


「変わっていってほしい」ブログ書いた30代女性

 「保育園落ちた日本死ね」のブログは2月中旬に公開され、ネット上で広がった。

 ブログを書いたのは、東京都内在住の30代前半の女性で夫と1歳の長男と3人暮らし。
正社員の事務員として4月から職場復帰する予定だった。

だが、通える範囲内にある認可、認可外のあらゆる保育施設に申し込んだが、すべて落ちてしまい、仕事を辞めなければならない可能性が出てきたという。

実家は遠く、近所に頼れる人もいない。

 自身のブログが国会議事堂周辺での集会につながるなど、反響の大きさに戸惑いもあったが、「(集会のように)実際に行動する事も大切なんだと感じています」という。

 「子どもは保育園で他人と関わることで成長することもあるし、第三者の目に触れる事で虐待を防げることもあるのかな、と個人的には思います。

(子育て世代は)票につながりづらい世代だからといって、解決を後回しにはしないでほしいですね。今後、変わっていってほしいと思います」と訴えている。