ドラマ「半沢直樹」に悪人は出てこない。出てくるのは自分自身の心を失った組織人だけ。


まだ20代くらいまでは、半沢直樹みたいなドラマをみても
面白いドラマだな~というくらいだったと思うけれど、
今ではわかることも多い。

このドラマの大手銀行組織の上層部は気が狂っているような連中ばかり。

でもわかりやすいデフォルメはされているけれど、
現実の大銀行も役所も大企業も、大きな組織の上層部は本当にこのドラマと変わらない。

それに従って組織人になってしまった部下の官僚や役人や社員も
もし上層部になれる機会があれば、気が狂ったような彼らと同じようになってしまうだろう。

組織人になれば、さほど良心の呵責を感じずに、
どこまでも非道なことが出来てしまう。

戦時中の残虐行為も、組織に評価されることを重要視する人ほど酷かったらしい。



このドラマで半沢直樹と対立した大銀行の上層部たちも
子供の頃はとっても可愛かったんだと思う。

大人のいうことを良く聞く、とっても可愛い子供・・・
大人に評価されて無邪気に喜ぶ、大人にとっては可愛い子供・・・

可愛い子供が自分の心より、大人や周りに評価されることを重視し始めた時から
自分の心を見失っていき、、、
自分の目で見て、自分の頭で考えることができない組織人になってしまう。


半沢直樹のように組織人にならずに自分自身であり続けた人は、
出世の道は閉ざされるけれど
小さな家庭を守るには十分な賃金を得て、自分自身の心を守ることが出来る。

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このドラマのラストで、、
半沢直樹の父が自殺するきっかけになった銀行員の大和田常務の不正を
頭取会議で告発して、頭取に大和田常務を処分させる決断をさせて復讐を果たした半沢直樹

しかし、この処分の結果は、懲戒免職を受けても当然である不正を告発された大和田常務は
一つ役職を降格しただけに留まり、会社内の大きな不正を告発して銀行の正常化に貢献した半沢直樹は出向となり銀行員の道を絶たれることになった。

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311の福島原発事故で、私たちのような一般人にも判り易く明らかになったことは
国家と繋がっている官僚、大企業、大銀行の不正は、たいして追及されずに
実質的には殆ど処分をされずにウヤムヤにされてしまうということ。

それは裏ではみんなで手を握り合って、不正を共有して
お互いの権力を守り合っているのだから、
仲間(国家・官僚・大企業・大銀行)の不正を告発することは
お互いに守り合って不正出来るようにしている権力構造を
破壊させることに繋がってしまう。

だから、不正を働くものたちはお互いを守り合う。

そして、不正を告発するものには、ありもしない不正をなすりつけて(強制わいせつ罪とか)
社会から排除しようとする。

今の社会というのは残念ながら
大きな権力をもつ組織ほど、上層部にいけばいくほど腐敗している。
もちろん大銀行もそう。
主任、課長、支店長、常務、、と役職が上がれば上がるほど
組織の腐敗をみることになり、組織の腐敗に加担するようになり
だんだん腐敗に対する感覚がマヒしていく。

半沢直樹のような人が1000人に1人もいないから、そうなってしまうんであって、
もし半沢直樹のようにいつも自分自身の良心に正直な人が10人に1人もいれば
半沢直樹が左遷(出向)されるようなことはなかったんだろうけどな~


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しかし、このドラマで半沢直樹の敵役になった浅野支店長も、大和田常務も
自分の家庭を大切にする普通の、どちらかといえば善人だった。

でも、自分の家庭だけを守って不正に加担する人ばかりになってしまうと
組織はどんどん腐敗していく。
腐敗が限界に達すれば、当然、崩壊する。
自分の家庭を守る基盤を崩壊させることになるんだけどな。


今の日本の腐敗も、社会自体を崩壊させる限界まで
近づいてしまった。

だって、その為に若者がまともに就職できない社会になってるんだから
若者が安心して家庭を作って守れないような社会は、崩壊間近だよな~