石破さんの声をもっと取り上げるべき


安倍首相が全員野球内閣だといえば、ただ「全員野球内閣」と報じる

それじゃあ、大本営発表そのまんまですよ。

軍部が勝った勝った大勝利!といえば、そのまま新聞ラジオが「日本大勝利!」と垂れ流して
国民を騙したあの戦争の時と。


ちゃんと突っ込まないと

疑惑から逃げて大臣を辞任していた安倍友(甘利氏や稲田氏など)を、
なんの説明もせずにシレーーーっと復活させてることに突っ込まないとダメでしょ。


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安倍人事は「適材適所」ではない? 石破茂が単独インタビューで明かした首相の弱点

AERA〉|AERA dot. (アエラドット)2018/10/2  https://dot.asahi.com/aera/2018100100065.html


 9月20日投開票の自民党総裁選で、現職の安倍晋三首相に単騎、戦いを挑んだ石破茂・元自民党幹事長。国会議員票では大差をつけられたが、地方票では善戦。AERA本誌の単独インタビューで、次の総裁選にも意欲を見せた。

【自民党総裁選の得票結果はこちら】

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──自民党総裁選での「安倍圧勝」に対し、「石破善戦」と言われている結果を、どのように受け止めていますか。

石破:国会議員の投票行動は、まず自分が所属する派閥の長の意向があり、それぞれの議員が「役職をもらって活躍したい」とか、「次の選挙で有利に戦いたい」とか、特有の基準があるものです。けれども、地方の党員の方って、安倍(晋三首相)さんに忠誠を誓ったからといって町長さんにしてもらえるものでもない。つまり、判断の基準が違うってことなんです。党員票にも「団体票」と「地域票」があります。前者は団体の利害によって決まるので、権力を持っているほうに流れる傾向にある。つまり、残った地域党員の一票が、一般国民の感覚に一番近いのではないかと思っています。その意味では181票をいただいた地方票の意味は重いと考えています。

──安倍首相は「自由闊達な議論ができた」と発言しています。一方で、安倍首相支持の議員が、石破派に所属する齋藤健農林水産相に対して「石破氏を支持するなら辞表を書け」と迫ったという発言が飛び出し、驚きました。

石破:これが農水大臣として立派な仕事をし、省内の評価も高い人に対して言えることなんですか。自民党公認有権者に選ばれ、国会に議席を得ている同志ですよ。誰が言ったのか知りませんが、「政権が大事であって国民はそうじゃない」ということだとすれば絶対におかしいでしょ。私には理解できない。

 安倍さんは閣僚人事でよく「適材適所」という言葉を使われます。

本当にそうなっているかといえば、そうでない人事がいっぱいあったじゃないですか。

疑惑の当事者なのに、一度も記者会見を開かない国税庁長官のどこが適材適所なんですか。

自分の側の人には適材適所と言い、そうでない側の人には辞めろと言うのは、権力というものを取り間違えていないかと思うんです。

私はそんな自民党であってほしくない。国民に受け入れられるとも思わないです。

──安倍首相は、田中角栄福田赳夫両元首相が1970年代から80年代前半に繰り広げた党内抗争を引き合いに「角福戦争のころは、こんなもんじゃない」と発言し、事実上、齋藤農水相への発言を問題視しませんでした。

石破:あの時代は中選挙区で、派閥同士が本当に争っていた時代です。それに今では考えられない額の「カネ」が乱れ飛んでいました。各派閥が地方の議員を奪い合う。上京すると聞くと、「東京駅で迎えていてはだめで、横浜駅でつかまえないといけない」「いや熱海駅でつかまえて説得しろ」だとか、各陣営が勝つためなら何でもありの選挙戦をやっていたんだと思います。

 けれども、自民党は「政治改革」を合言葉に、そうしたかつての体質を否定して今があるのではないかと。圧力とか恫喝(どうかつ)とかじゃなく、真摯(しんし)に政策を争い、議員一人ひとりが己の信条にしたがって一票を入れる。それこそ、公正で正直な自民党にしようという思いでやってきたのだと思います。今は社会が、政界にしてもスポーツ界にしても、パワハラが横行していて、不正に対して「それは違う」と勇気をもって物を言った人がさらに弾圧を受ける。きれいごとを言うようだけど、自民党は「社会の範」たらねばならないのではないか。それって政治家として当たり前のことだと思うんです。

──「石破は干される。次はない」などの噂が永田町には流れています。

石破:統一地方選だって来年の参議院選挙だって、自民党員だけでやるんじゃない。一般の国民全員を対象としてやるんですよ。そうであるならば自民党の好感度って大事じゃないですか。総理が「これだけ自分に対する反対票が出た。石破が言っていたことを支持する人がこれだけいるんだ。そういうことを踏まえて政権運営に当たりたい」とおっしゃるか、一票差だろうと勝ちは勝ちだということで突き進まれるのか、それは分からないですよ。けれども、仮に後者であるならば、選挙の意味ってなんだろうかね、ということにならないですか。

──政策論争では、これまでの実績をアピールする安倍首相と、日本の将来をどうするかに重点を置く石破さんとで主張が分かれたように思えます。

石破:安倍さんは、実績は語ることはできても将来は語れない。私が問いたいのは人口急減に直面する日本の舵取りです。これをこのまま放置すると日本の社会が維持できない時が必ず来るんです。2040年には今から人口が2千万人減って、高齢者数がピークにあるわけですね。社会保障給付は1.6倍に増える。このままでは絶対に維持できない。また交戦権なき自衛隊が他国の軍隊と本当に戦えるのかという問題。この災害列島にあって、防災省って本当になくてもいいのか、など課題は山積です。

──本当に首相のポジションを狙うのであれば、総裁選でなぜ国民の関心が最も高い「森友・加計」問題を議論しなかったのでしょう。

石破:我が水月会(石破派)は20人しかいないので単独で勝てるはずがない。今回、献身的に動いてくれたのは参議院平成研究会竹下派)ですよ。確かに森友・加計問題は国民の関心が高いんだけれども、最初にキャッチフレーズで「正直、公正」をアピールしたわけだから、これからは政策でやろうという意見が出たんです。そこに配慮したのは事実。

 誰が何と言おうが、俺はこれだけでやるということも随分考えた。けれども、それだけで行ったとしたら、あれだけの票が出たかどうかは分からない。だからこそ、もっと時間は欲しかったよね。
安倍さんは森友・加計はひたすら逃げるしかない。

そうなると政策論争の場を短くするというのは、当然の戦術ですよね。

それにしても総裁選の期間に外遊(9月10~13日にロシア訪問)するのはいかがなものかと思うけどね。

──北朝鮮拉致問題に関して、安倍首相が総裁選の討論会で「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだと私が言ったことはありません。ご家族でそういう発言をされた方がおられることは承知をしております」と発言し、周囲を驚かせました。自民党における「拉致問題の解決」とは何を指しているのでしょうか。

石破:安倍さんは国会で「全ての拉致被害者のご家族がご自身の手で肉親を抱きしめる日まで、私の使命は終わりません」と発言しています。安倍さんはトップ会談でやると言ってるわけですよ。けれども向こうはトップ会談に応じるような状況なのでしょうか。北朝鮮の言っていることって、100%、全部うそなのかと。彼らだって本当のことを言わないと前進しないことはわかっているからね。だからお互いの国に連絡員事務所を置いて、これはどうなんだ、これは本当なのかっていうのを、一つ一つ検証するのが、私は正攻法だと思いますよ。今までそんな信頼関係をつくってきた相手ですか。

 あのトランプ大統領も「パールハーバーは忘れない」と言い、米軍横田基地に降り立ち、そこに自衛官が呼びつけられたんですよ。何なんだこれはと思いますよ。パールハーバーを忘れないって、なんで言われなきゃいけないの。だから個人的な信頼関係と国益は別だって言っているのであって、それは外交の常として、一つずつ前進していかなきゃしょうがないでしょう。「一人残らずその手に抱きしめるまでは私の使命は終わりません」と言ったほうがいいだろうけどね。でもそれが解決を早めましたか。それでもなおそれを言い切るのはすごいもんだと。

──次の総裁選(安倍首相の任期は21年9月まで)にも出馬されますか。

石破:自分がやんなきゃいけないようであればね。この10年で企業の利益は163%に増えたのに、売り上げは98%ってどういうことだと。高度経済成長期で売り上げがガンガン伸びているわけでもないのに、労働分配率を下げるというのは絶対にやってはいけない。安倍さんは、景気が良くなる時ってこんなもんだと言われますが、それは違うでしょうと思ってしまいます。

(構成/AERA編集部・中原一歩)

AERA 2018年10月8日号